その日 勇者の遺産は  


ひとりの少年が触れたことにより 永き眠りから醒めた  



幼いかれは 自らに襲いかかる運命など露知らず 


剣の放つ眩い光に 無邪気に魅入るばかりであった 



もしもかれに 全てを見通す【賢者の瞳】があったなら 


闇に蠢く魔物の影 彼を愛する人々の嘆き……


輝く刃に 一点の曇りを見ただろうに 






《大陸の外れ、占星術師の塔では……》