がさっ と頭上で葉擦れの音がして、
気付いたら鋭い槍先が目の前にあった。
がさっ と頭上で葉擦れの音がして、
気付いたら鋭い槍先が目の前にあった。
異形の獣が僕を睨んでいた。殺意をぎらつかせて。
骨張った肩の向こうに満月が浮かんでいた。
『こいつらは何だ? いったい何匹いるんだ? 後から後から湧いてくる!』
僕は、剣を――そう、たった今抜いたばかりの剣を――がむしゃらに振り回した。
薪割りに毎日使う斧よりも、それは不思議と手になじんだ。
森の動物達は何処だろう……鳴き声一つしない。
眠っているだけだ、そう自分に言い聞かせて、とにかく走った。