長い冬の夜 炉辺で養祖母が語る伝説に
熱心に聞き入っていた少年は
吟遊詩人エストドゥールが詠ったという一篇の詩を
ありありと思い出すことができた
焔さへ恐れぬ獣ら 何処より出で来て
荒ぶる車輪の如く 地を打ち拉ぎぬ
世はあやに乱れ 人皆怯え惑ひて有るにも有らず
斯かる大闇祓うるは 光の楔を抜きし者のみ
(炎を恐れない獣――やつらのことだ)
誰かの悲鳴が 聞こえる
魔物の咆哮が 聞こえる
枝が折れる音 柱が傾ぐ音
時折 怒号と激しい剣戟
それも やがては
炎に呑まれていく
長い冬の夜 炉辺で養祖母が語る伝説に
熱心に聞き入っていた少年は
吟遊詩人エストドゥールが詠ったという一篇の詩を
ありありと思い出すことができた
焔さへ恐れぬ獣ら 何処より出で来て
荒ぶる車輪の如く 地を打ち拉ぎぬ
世はあやに乱れ 人皆怯え惑ひて有るにも有らず
斯かる大闇祓うるは 光の楔を抜きし者のみ
(炎を恐れない獣――やつらのことだ)
誰かの悲鳴が 聞こえる
魔物の咆哮が 聞こえる
枝が折れる音 柱が傾ぐ音
時折 怒号と激しい剣戟
それも やがては
炎に呑まれていく