「これが、あなた達の言う――賢者の言う【結末】なのか!?

街はめちゃくちゃだ!街だけじゃない、森も畑もみんな、魔物の巣だ!」


「どうして一緒に戦ってくれないんだ。

【古よりの賢者】は、誰よりも強く賢いんだろう?

ただ黙って見ているだけなんておかしいじゃないか、
どうしたらいい、どうしたらこんな世界を救える?

教えてくれよ!」


「訊きたいのはこちらの方です」


【古よりの賢者】への忠誠を示す紋章を縫い付けた長衣の下で、信徒の瞳が怪しく光った。



「なぜ剣を抜いたのです?

その『鍵』が開け放つ扉の名も知らずに……」


奇妙な魔術的な抑揚を持ったその響きに、激昂をからめ捕られたように、少年は立ちすくんだ。



「剣の輝きに魅せられて、ただ幼稚な憧れのために。

ただ名声への欲望のために……


違いますか?


無数の人々の明日を奪ったのは、魔物たち。

それは間違いないでしょうね。


しかし真の魔物とは果たして、一体誰なのでしょうね……」






To another anecdote